マイクロツーリズムで行きたいスポット1・兵庫県淡路島・伊奘諾神宮(イザナギ)
「美」の背後には深い悲しみの感情があり、これを日本人は「あわれ」とよんで大切にしてきた、と「神話と日本人」の言ったったのは河合隼雄である。
神話には、その国を理解するための背景、文化、歴史、言語が含まれている。その中から読み取れる事も多い。
神話をざっくりおさらいしておくと、日本列島を創ったのは伊弉諾尊(イザナギノミコト)・伊弉冉尊(イザナミノミコト)の夫婦。イザナキ・イザナミが天から鉾で大地をかき混ぜて創りだした土地を、国土として整備したのがオオクニヌシ。これを後に、統治者として地上に降りたったニニギノミコトが譲り受けることになる。
2019年に念願かなって登山した霧島温泉から入る高千穂峰の山頂(標高1574メートル)にはその鉾、通称「天の逆鉾」が今も突き立てられているのだ。イザナキ・イザナミが大地をかき混ぜる際に用いた鉾であるという。
高千穂峰の山頂への登頂の記事は下記をご覧ください
この神話を今に伝える「古事記」「日本書紀」によれば、そのとき世界で最初に生まれたのが「淡路穂狭別島(あわじのほのさわけのしま)」すなわち淡路島であると云う。
国土創生の神、イザナギ・イザナミが最初に生まれたのが淡路島。そこには、我が国の始まりの歴史を刻んだ、国生み神話ゆかりの場所が多く存在し、訪れる人々を別空間へいざないます。
伊弉諾神宮(イナザギジングウ)は、国生みに始まる全てのご神功を果たしたイザナギが、後に余生を過ごされたという住居跡に建てられた日本最古の神社です。
三貴士を産んだイザナギ
古事記によれば黄泉国から帰ったイザナキ神は「なんときたない国へ行ったのだろう。」と言って、竺紫(ツクシ)の橘の小門(オド)の阿波伎原(アワギハラ)に行って、体を清めることにしました。
この時にイザナキ神が脱いだ衣服などから神々が生まれました。イザナキが体を洗い清め時に禍の神々が生まれました。
多くの神々生まれたあと最後に顔を洗うと、左目からアマテラス大神が、右目からツクヨミ神が、鼻からはスサノオ神が生まれました。
ここで面白いのは、この三貴士は女性から生まれたのでなく、男性のイザナギから生まれたとのされる事です。つまり男女の交わり無くして、神々が生まれました。
しかもアマテラス大神は女性であり、お父さんの目から生まれた事になっています。
三貴士と云うのは3つ組となっています。つまりはTrial、3人組となっています。真ん中のツクヨミはアマテラスやスサノオと比較して目立たない存在となっています。
鳥居を潜ると大きな池が目に入ってきます。亀の石像が池の真ん中にポツンと置かれています。
鯉が泳いでいます。橋をわたると鯉が口をパクパクさせながら近づいてきます。多分、コロナ下で来訪者がへり、お腹を空かせているのかもしれません。
厳かにしかもシンプルで来訪者を迎えてくれる本殿。
本殿の顔は真南を向いています。そして東西南北にそれぞれ門があり鳥居が設置されています。
境内には「ひのわかみやと陽の道しるべ」と云うモニュメントがあり、ご縁のある一宮の神社との配置が記されています。
昔、神社やお城の配置設計を研究されている方の講演を聞きに言った事がありますが、太陽や星の位置を基に角度を計算し、設計されているというのを思い出しました。
本殿の裏側は茅葺き屋根の工事中でした。このような歴史ある建物を修復できる職人さんはどれほどいるのでしょうか。
淡路島は兵庫県であり、神戸や徳島から車で1時間ちょっととほど近いです。
唯一の障害になるのが、明石海峡大橋や鳴門大橋の高速料金ですが、たまに行くにはいいでしょう。
GOTOキャンペーンは置いとくとして、ぜひマイクロツーリズムで足を運んで頂きたい場所ではあります。
国生みの大業を果たされた伊弉諾尊(イザナギノミコト)と伊弉冉尊(イザナミノミコト)の二柱をお祀りする神宮。
ちなみに博識のバスガイドさんから聞いた知識では、神宮と神社の違いは。
神宮は皇室の先祖を御祭神とされている。
神社は皇室以外の方々を御祭神とされているという事です。
イザナギノはアマテラスやスサノオ等多くの神の父神であり、神武天皇の7代先祖とされているので、神宮と呼ばれているという事です。
古事記・日本書紀の神代巻に創祀の記載がある最古の神宮で、淡路国一宮として古代から全国の崇敬を集めています。
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