カバの水浴び・東京銭湯物語
緊急事態宣言も解除されて東京の公衆浴場の人の数も増え始めた。
在宅勤務が増えている今日このごろ、運動もかねてあえて家から5キロメートルほどある銭湯に日課として通う。
大田区は黒湯の温泉が出るところも多く、ここの銭湯も黒湯が出る。料金は460円、回数券を買うと10枚で4400円になり、お得だ。
お目当ては、温泉でなく高濃度炭酸泉と水風呂。少しぬるめに設定された炭酸泉はテレビを見ながら入れるのがお気に入りだ。家にはテレビがないので、ここの銭湯で炭酸泉に浸っている間だけテレビっ子になる。昨日は、京都の舞妓と芸妓の違いはという取材をしてたな。
毎日のようにいっていると常連の顔ぶれがわかって来る。いつも18時から20時くらいの間に出会う「カバ」みたいな人にあう。
体が大きくて、鼻の穴が異様に大きい。そして水風呂に入るときに長く頭まで潜って、時折、鼻を水の中から覗かせる。その瞬間、本当にカバのようにみえる。
あんまり頭まで水風呂につかるのはマナー違反なので好きではないんだけど。
心の中では「カバさん、カバさん」と呼んでいる。カバさんにいくつかのルーチンがある。
炭酸泉の横に、おきな浴槽の土手があり、水風呂に入った後に、そこに大きな体で座る。
入り口が狭いので、カバさんがそこに腰掛けると、遠回りして、他の浴槽の土手から入浴しなければならない。
そしてテレビをみながら、湯船の水を手で掻き寄せて、外に出す。あまりにも激しくかき寄せるので、炭酸泉に浸りながら土手に頭を載せてテレビをみている顔にお湯がかかる。うっとしいなと思いながら、無言で別の浴槽に移動する争いが嫌いな筆者である。
もう一つは立ちシャワーが異様に長い。一番長い時には20分以上、シャワーを浴びている。流石にCO2の排出削減にも影響しているだろうごとくにシャワーを使用する。その長いシャワーで身を清めた後には、体を拭かずに脱衣所へと向かい、脱衣所の床をベチョベチョにする。
毎日顔を合わせるので、できるだけカバさんが来るような時間を避けていく事もあるのだが、2時間もおられるので、少しだけバッティングするのである。
カバは水浴びが好きだから、本当に前世はカバだったかもしれない。そんな平和な日本にまだある東京大田区の銭湯は、今日もたくさんの客を迎えて鋭意営業しているのであった。
まだまだ書きたい事もあるが、本ブログの熱烈な読者である大阪のY氏から私の身を案じて「毒殺される」アラートが送らられるので、今日のところはこのあたりで筆を置くとしよう
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