2026年ワールドカップで、日本代表がブラジル代表と対戦することになりました。
日本対ブラジル。
この組み合わせを聞いて、私が思い出したのは、2017年11月10日、フランス北部の街リールで見たサッカー日本代表対ブラジル代表の試合です。
当時、私はフランスのEDHEC Business Schoolに留学していました。
試合が行われたのは、リール郊外にあるスタッド・ピエール=モーロワ。日本代表監督だったハリルホジッチ氏は、かつてリールの監督を務めていた人物です。そんな縁もあってなのか、日本対ブラジルという大きな試合が、フランス北部のこの街で行われました。

サンパウロ大学から来た日系ブラジル人からチケットを譲ってもらう
この試合のチケットは、サンパウロ大学からEDHECに留学していた日系ブラジル人の学生から譲ってもらいました。
彼がチケットを購入していたものの、都合で行けなくなり、私がそのチケットを買うことになったのです。
ただし、少し事情がありました。
チケットの都合上、私はブラジル人サポーターたちと一緒に入場する必要がありました。
そこで試合当日、彼らの家に行き、そこから一緒にスタジアムへ向かうことになりました。
集合時間は11時30分。
場所は、Lille MetroのSt Maurice Pellevoisin。
ところが、案の定、ブラジル人たちは時間通りには来ませんでした。
スタジアムに向かう途中から、もう試合は始まっていた
ようやく合流し、スタジアムへ向かうことになりました。
その途中から、彼らは歌い始めました。
最初は、これがブラジル人の普通の感情表現なのかと思っていました。
サッカーの国ブラジル。
試合へ向かう時点で、すでに気持ちが高ぶっているのだろう。
そう思っていました。
ところが、スタジアムに着いてから分かりました。
彼らは、ブラジル人の中でも特別にクレイジーな人たちでした。
ただ、その明るさには本当に驚かされました。
歌う。話す。笑う。知らない人も巻き込む。
言葉が違っても、空気を作ってしまう。
彼らの語学能力と、周りを巻き込む力には圧倒されました。
日本人にはなかなかない感覚です。
日本人なのに、ブラジル側で日本代表を見る
私は日本人でありながら、ブラジル側の席で観戦することになりました。
周囲はブラジル人サポーター。
横にはポルトガル人の男女が座っていました。
そのポルトガル人の女性もまた、よく話す人でした。語学能力に長けていて、自然に周囲と会話を続けていました。
ヨーロッパや南米の人たちは、とにかくよく話す。
その中で、スピーキング能力が磨かれていくのだろうと思いました。
留学中、ビジネススクールで感じていたことでもあります。
日本では、専門知識や資格のようなハードスキルが重視されます。
一方、ヨーロッパのビジネススクールでは、プレゼンテーションやチームでの動き方、相手を巻き込む力といったソフトスキルが非常に重視されます。
サッカーのスタジアムでも、それを感じました。
彼らは、自分の感情を外に出すことに慣れている。
そして、その感情で周囲を巻き込んでいく。
これは、ただ陽気というだけではありません。
人と人との距離を一気に縮める力でもあります。

キャプション:ブラジル人サポーターたちと一緒に入場し、ブラジル側の空気の中で日本代表戦を観戦した。
試合は日本の完敗。それでも忘れられない一日
試合は、日本代表の完敗でした。
スコアは1-3。
ブラジル代表の強さは、やはり別格でした。
ネイマール、マルセロ、ガブリエウ・ジェズス。
当時のブラジル代表には、世界トップクラスの選手たちが並んでいました。
日本代表も後半に得点しましたが、試合全体としては、ブラジルとの差を感じる内容でした。
けれども、私にとってあの日の記憶は、単に「日本がブラジルに負けた試合」ではありません。
フランス北部のリールで、ブラジル人たちと待ち合わせ、彼らの家から一緒にスタジアムへ向かい、ブラジル側の席で日本代表を見る。
日本人でありながら、ブラジル人サポーターの熱量の中で、日本代表戦を見る。
そんな不思議な経験でした。
なぜリールで日本対ブラジルだったのか
当時の日記にも、私はこう書いています。
なぜ日本対ブラジルの試合がリールで行われたのかは分からない。
ただ、ハリルホジッチ監督が長年リールで監督を務めていたことや、今もリールに家があることが理由の一つかもしれない。
また、ブラジル代表選手も日本代表選手も欧州でプレーしている選手が多く、アクセスの利便性からもリールが選ばれたのかもしれない。
大きなスタジアムがあることも理由だったのかもしれない。
真相は分かりません。
それでも、留学中の私にとって、リールで日本代表戦を見られたことは幸運でした。
2026年、日本対ブラジルを前に思うこと
2026年、再び日本代表がブラジル代表と対戦します。
あれから約9年。
日本代表は大きく変わりました。
海外でプレーする選手も増え、日本サッカーの評価も上がりました。
それでも、ブラジルという国が持つサッカーの存在感は、今も特別です。
2017年のリールで感じたのは、ブラジルの強さだけではありませんでした。
ブラジル人サポーターの明るさ。
周囲を巻き込む力。
言葉や国籍を超えて、スタジアム全体を自分たちの空気に変えてしまう熱量。
日本対ブラジルというカードには、単なる試合以上のものがあります。
サッカーの強豪国に挑むという意味だけではありません。
文化の違い、感情表現の違い、人を巻き込む力の違い。
そういうものまで見えてくる組み合わせです。
2017年のリールでは、日本はブラジルに1-3で敗れました。
けれども、2026年の日本代表には、また違う可能性があります。
今度の日本対ブラジルを見ながら、私はきっと、あの日のリールのスタジアムを思い出すと思います。
ブラジル人たちと一緒に歩いた道。
スタジアムへ向かう途中から始まっていた歌。
日本人なのに、ブラジル側で見た日本代表戦。
あの日の記憶は、今もはっきり残っています。

コメント