フランスの共同住宅事情【長屋が多い理由?】
最近、ヨーロッパに住む友人から「ヨーロッパでは長屋が多いのなぜ?」という素朴な疑問を頂きました。確かに私もフランスに住んでいた頃、長屋のような共同住宅をシェアハウスとして住んでいました。
今回はフランスの住宅事情について書きます。
フランスに長屋が多い理由
長屋が多い理由は、ズバリいうとコストを抑える為です。
ですので、富裕層の家を観ると、長屋でなく、庭付きの一軒家に住んでいます。長屋に住むのは、中間所得層以下、または賃貸物件やシェアハウスとして借りる私のような学生(当時)です。
コストで言う、一軒家を5人でシェアして、一人あたり500EUR(約6万円)くらいです。これに電気代、ガス代、水道代、通信費、調理器具や洗濯機や必要な家具が付いていますのでお得です。
歴史を見ていると、中世から近世まで、フランスに限らずヨーロッパの多くは領主制でした。これは、今でも国境付近に住む現地の人と話すと、国境付近であった歴史の事を話してくれますが、今回は割愛します。
で、その地域を治める領主によって、家の間口の広さから、納税金額が決められていました。ですので、狭い間口に隙間をあげる余裕はありませんから、隣の家と壁を共有して隙間を無くしました。
これは昔の京都の長屋ができた理由と共通します。
隣の家と壁を共有するのは、空間を減らすだけなく、建設コストを減らす目的もあります。そのために、隣の家のオーナーと交渉して、建物の維持管理費も共有するなどし、さらにランニングコストも減らします。
さらに隣へと、どんどん家が続いて行く街並みが生まれた理由は、そんなところにあったのです。
敷地が縦に長いので螺旋階段にしている
写真は、私が住んでいたシェアハウスの1F部分です。敷地が縦に細く長いため、屋内の利用面積を大きくとる必要があり、螺旋階段にしています。
私が住んでいた部屋は、3Fのさらに上の屋根裏部屋ですから、結構良い運動になります。
引越しの際は、大変でした。
もう一つこの螺旋階段で大変なのは、ベットマットなどの大きなものを運ぶ時に苦労します。
一度、シェアハウスにすむインド人の男の部屋のマットレスを運ぶのを手伝いましたが、マットレスの角度を微妙に変えながら、階段を登らなけばならずに大変でした。
窓から荷物を取り入れる
その為に、窓を見てもらうとわかりますが荷物が搬入しやすように、縦長になっています。
写真は私が住んでいたシャアハウスですが、これで2軒のシェアハウスです。内側の真ん中にさらに壁があって、分断されています。玄関のドアが2つあるのも分かると思います。
オランダでは、さらに家が前倒しに傾いており、荷物が搬入しやすくなっています。
お金をかけないで豊かな生活を愛する事で知られているフランス人ですが、オランダ人は、コストカットはさらに上をいっていますね。(褒め言葉です)
余談:フランス語の天窓:Vasisitasはドイツ語(Was ist das?)が由来
屋根裏に住んでいると唯一の光が入ってくる、天窓を眺めていることがあります。
で、この天窓は英語ではSkylight(スカイライト)と言います、見た目通りの名前ですね。
天窓と言う単語が元々、フランス語の語彙になかったとの事です。これはオーストリア人のクラスメートから聞いたウンチクですが、
フランス語で天窓をVasitas (ヴァスイストダス)と言います。これはその昔、ドイツ人がフランスの知人宅をおとづれた際に、天窓を指して、「これは何(フランス語でなんと言うの)?」と聞いたそうです。
ドイツで「これは何?」はWas ist das? (ヴァス イスト ダス)ですから、フランス人はドイツ語に疎い人が多く、天窓と言う語彙がその当時フランスにはありませんので、
ドイツ人が「これは何?」と一生懸命何回も聞くもので、天窓をVasitas (ヴァスイストダス)と思って、フランス語で天窓はVasitas となったそうです。
ではでは……..。
このブログではイラストにShttersotckを使用しています。
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