六甲全山縦走路を歩いていると、ササユリが咲いていました。
淡いピンク色を帯びた花は、山の中でひときわ目を引きます。
大きく主張する花ではありませんが、見つけた瞬間に足を止めたくなるような、上品で静かな美しさがあります。
【写真:笹百合の花】

ササユリは、種から花を咲かせるまでに長い時間がかかる花です。
発芽してから、早くても5〜7年ほどで開花に至るとされています。
つまり、今咲いている一輪は、今年急に現れた花ではありません。
何年もかけて山の中で育ち、ようやく咲いた花です。
最近は、花を摘んだり、株ごと持ち帰ったりする人もいると聞きます。
花を摘めば、その花は種を残せません。
株ごと持ち帰れば、その場所ではもう咲きません。
ササユリを楽しみにして、毎年その時期に山を歩く人もいます。
「何年か前に見に行った時は、まだ蕾ばかりだった」という声もありました。
蕾の先端がほんのりピンク色を帯び、咲く前から花の姿を想像できるのも、ササユリの美しさです。
この風景は、人の手にも支えられている
六甲全山縦走路を歩いていると、自然のままに見える登山道も、実は多くの人の手によって守られていることに気づきます。
地域の登山会の方々による草刈り、倒木の確認、登山道の整備。
そうした地道な作業があるからこそ、多くの人が安心して山を歩くことができます。
【写真:地域の登山会による草刈り作業風景】

草刈りは、ただ道を広げるだけの作業ではありません。
登山者が安全に歩けるようにすること。
見通しを良くすること。
そして、残すべき植物を見極めながら、山の環境を守ること。
登山道の風景は、自然だけで成り立っているのではなく、そこに関わる人たちの積み重ねによって保たれています。
関連記事:
六甲全山縦走路を守る草刈り作業|菊水山登山道整備の記録
山でとっていいのは写真とゴミ
今回の投稿には、いくつか印象的なコメントも寄せられました。
「山でとっていいのは写真だけ。持ち帰っていいのは思い出だけ」
この言葉を思い出したという方がいました。
本当にその通りだと思います。
さらに、別の方からは、
「山でとっていいのは写真とゴミです」
という言葉もありました。
花はその場に残し、ゴミは持ち帰る。
山歩きのあとに、山が少しでもきれいになっていれば、それが一番いいのかもしれません。
【写真:ゴミ拾い風景】

ササユリは、甘い香りで気づくこともある花です。
見つけた時は、写真を撮るだけにして、次に歩く人にも見てもらえたらと思います。
今年咲いた花が、また種を残し、何年か先の六甲全山縦走路で次の花につながっていく。
そんな山の風景を、これからも残していきたいです。
詳しい場所は書きません
なお、ササユリが咲いていた詳しい場所は、この記事では書きません。
花を見たい気持ちは誰にでもあります。
ただ、場所が広く知られすぎることで、花を摘む人や株ごと持ち帰る人が出てしまう可能性もあります。
六甲全山縦走路を歩く中で、偶然出会う。
そのくらいの距離感が、山の花にはちょうど良いのかもしれません。
見つけた方は、どうかそのまま残してください。
次に歩く人にも、同じ風景を見てもらうために。
※菊水山のの全体像は、「菊水山とは何か」にまとめています。



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