ホセ・ムヒカ『本と映画から学ぶ名言・逆境が人を育てる』
2012年のリオ会議でのスピーチが資本主義社会への一石として脚光を浴び「世界一貧しい大統領」として日本でも多くのマスコミに取り上げられました。その時に出された本が「ホセ・ムヒカの言葉」で多くの印象的な言葉を手帳に書き留めたのを覚えています。1、2時間あれば読める分量ですので映画鑑賞前に読んでおけば一層楽しめるかと思います。
世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉
2018年製作/74分/G/アルゼンチン・ウルグアイ・セルビア合作
原題:El Pepe, Una Vida Suprema
配給:アルバトロス・フィルム
映画公式サイト
2018年製作/74分/G/アルゼンチン・ウルグアイ・セルビア合作
原題:El Pepe, Una Vida Suprema
配給:アルバトロス・フィルム
「矛盾しているように聞こえるかもしれないが、時には悪は善である。そして、善は悪にもなる」
ヒューマントラスト有楽町で鑑賞。東京都の外出自粛要請が出た週末、同映画館でも観客同士の席を空けて距離をとるなどして感染防止の措置が取られましたが、スタッフのいわく、「お客が全然少ないです」とのことです。
次の週末に政府から何らかの発表があれば、営業を取り止める事になるかもしれないとのこと。イベント自粛要請して、そのキャンセル代を補填しないのであれば、そんな無責任なお願いはないでしょう。要請するのであれば、それに対する補填も示す具体的に示して欲しいです。
ぺぺの愛称(スペイン語でホセ)で呼ばれるホセ・ムヒカさんは、大統領になったと言う事で華やかな経歴を持つ人間ではない。苛烈な半生を送ってきたことでも知られています。社会主義革命を目指す極左ゲリラ組織に参加し、富裕層からお金を略奪したり、銀行強盗もやった。そして、それを貧しい人に配ったりしていました。本ではそこまで書かれていませんでしたので、映画での新しい発見です。日本で言う「ネズミ小僧」、西洋で言う「ロビンフッド」のようなことをしていたようですが、当時のウルグアイの法律でも犯罪になります。
銀行強盗して事に後悔はないと言う。「銀行をつくる事と、銀行から奪う事は何が違うのか」と言う。ぺぺのお言葉は哲学的で何とも考え深いです。彼のメッセージの伝え方、簡単な言葉を使うところが国民の支持を得た要因だと、パートナーのルシアさんは語ります。
「人間の大罪は働かないでも金を使って、金を生み出せるようにしたこと」
ホセ・ムヒカさんが伝えたい事は不老所得の否定、要は資本家が働きもしないでお金を搾取することを否定する。そして若者には「どうか時間を大切にして欲しい。この地球にある鉱物も資源も使いきれないほどあるが、愛する人の為に使う時間は限られていると」。
十数箇所の銃跡をもち、逮捕や脱獄を重ねた。13年間も牢獄に収容された。そこで辛い日々を送り、独房の中で考え抜いた。そしてその時期が自分の基礎となり、信念を築いたと言う。
「成功や富が人を育てるのではない、逆境が人を育てる」
これらの言葉は、コロナウィルス問題で揺れる日本人にも、わかる人には届くかもしれない。
監督は名匠エミール・クストリッツァ。旧ユーゴ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)のサラエボ生まれで、民族や宗教対立で故郷の旧ユーゴスラビアが引き裂かれた経験を持つ連邦が解体される過程で起こった内戦では自宅を略奪された過去を持つ。そんな経験に基づき、戦争や弾圧の中でも生きる人々をユーモアを交えて描く。
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