猟師の哲学【トド撃ち名人・俵静夫さんとの出逢い】

姫沼
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猟師の哲学【トド撃ち名人・俵静夫さんとの出逢い】

なんで俵さんに逢ってみたいと思ったかというと、彼の猟師哲学がいいなと思ったから。

テレビを通してなので、本当なのか分からないが。例えば、トド撃ち漁に出るときは3発までしか撃たない。または、手負いをさせないよう、1発でトドを仕留める、といったところに引かれたから。

手負いをさせると、ずっとトドが痛い思いをして生きていかなければならないんで、気持ちが悪いそうだ。ここはヨーロッパで提唱される「魚の福祉」(リンクのブログを参照)にも通じるものがある。

ボートが波に揺れる。浅瀬に追い込んだトドも波に揺れる。そのボートの波とトドの波の波長が揃った瞬間を狙って、発射する。相当な集中力。その集中力の限界から1日にうつ弾の数は3発だそうだ。

トドを自分の手でナイフでさばき、このセリフがいい、「海が好きなんだ」って。

トドを仕留めると、まずは近所の仲間におっそわけする。そしたら島中にそれが広まり、トド肉の注文が電話や訪問客で殺到する。トドは島民にとって、貴重なタンパク質源であるとともに、ご馳走なのだ。
で、俵さんはこう言う、「俺、本当困るんだ」と言いつつ、やはり老齢にしてもまわりから頼りにされ、喜びの表情を浮かべる。

とは言いつつ、何処に住んでいるかも分からずに、寒さ感じる9月末の礼文島を50ccバイクで走りつつ、俵さんを探す。港の漁業組合の方に聞いても分からず、ガソリンスタンドのスタッフの方に聞き、ようやく居住地はわかった。

いきなり東京から知らない人間が行って大丈夫かなと思いつつ、バイクを走らせる。目印はテレビでみた、毎日の風を読むために設置されているフラグ。

それと思われる家を通り過ぎた時、俵静夫さんが家から出てくる。

思わず、「俵さん、東京から来ました」と言う。「おお、入っていけや」と家にすぐに招待された。

コーヒーをご馳走になり、トド肉までご馳走になった。礼文のトドはタコを主食にしているので、肉の香りがふわっと鼻に通るような感じがした。食感はクジラに似ている。

テレビ放映後は、何人も訪問客があったそうだ。特に、女性が多いらしい。どうやって電話番号を調べてくるがが分からないけど、電話をかけてくるらしい。とにかく、女性は冒険心が強いのではないかだろうか。

私が訪問した際も沖縄から若い女性が家の手伝いをしながら泊まり込みでいた。何でも物書きの方らしい。いやぁー、こちとら訪問するだけで躊躇ったのに行動力がすごいねー。

トド漁は冬場のみだが、大体、一冬で20頭くらいのトドを仕留めるそうだ。島のほかの猟師は20人ほどいて、3頭くらいの収穫なので、俵さんは100人力なのだ。

トドの生体を研究している学者の名刺もたくさん見せてくれた。トドの胃を提供して、胃の中の内容物からトドの生息地を研究しているのに一役買われているそうな。

トド猟の目的としては、その他に漁師の網にトドが引っかかり漁業への悪影響が大きいため、1隻のボードで追い込み、トドの回遊ルートを変更させているそうだ。胃の中の餌の内容物から、トドの回遊ルートが分かるらしい。

まさかお会いできるとは思わずに、東京から買ってきたチョコレートをバイク乗り場に置いてきた。
あとで郵送する事に、住所は不要だ。「礼文島、俵静夫殿」だけで届く。

郵便局員に荷物を渡すと、「俵さん宛てですね、有名人ですからねー」と言っていた。

翌日、利尻富士に10時間かけて登り、下山したところで携帯が鳴る。

「古川さん、チョコレートありがとうな。届きましたー」との本人からの電話だった。

ああ、そうか、こう言うところから、電話番号漏れるのかって。

続く…

俵さんの自宅にてツーショット。見ず知らずの訪問者にトド肉を振る舞っていただく。

最大全長が3メートルにもなるトド。

礼文島、利尻島の訪れた際の動画

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