靴下の哲学 vol.3【タビオ・越智直正さんのリーダーシップ】

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靴下の哲学 vol.3【タビオ・越智直正さんのリーダーシップ】

タビオは“メイド・イン・ジャパン”の靴下にこだわり、靴下の製造から販売までの事業を一貫して行っている会社だ。今、消費者が買っている靴下の9割以上は輸入品だ。

安い労働力の国で生産し、それを輸入し販売するというのがほとんだ。靴下だけを扱う企業というのは世界的に見てもかなり珍しい。なぜなら靴下は季節変動商品だからである。

基本的に、冬場の売り上げは夏期の7、8倍にもなる。売り上げの単価もウールなどの素材を用いる冬の方が高くなる。その為、夏場は売り上げが低く、さらに高単価の秋冬を仕入れる必要がある為に、資金繰りが厳しくなる。その為、多くのメーカーは、様々な商品の中の一つとして靴下を扱い、季節による売上変動を平準化するのである。

この『靴下専業』と『国内生産』という2つの特徴によって生まれるのが、タビオの強み、「高品質」である。

タビオの経営理念

直正氏は1987年12月の「ダンソックス」創業時に、『凡そ商品は 造って喜び 売って喜び 買って喜ぶようにすべし造って喜び 売って喜び 買って喜ばざるは 道に叶わず』を創業の理念として掲げ、明文化した。

社員はこれを毎朝の朝礼で唱和することが慣習となっているいう。元々は二宮尊徳が遺した言葉として知られているが、「造って喜び」の箇所は創業者である越智直正氏が独自に加えたものである。

直正氏の靴下に対する思い入れは深く、靴下を歯で噛んで、その弾力性と品質を確かめる。また、靴下試作品をチェックするために、実際に市場に商品がでる前に必ず、自分の足で試す。

足の感覚を研ぎ澄ます為に、1年中靴下を履かないことでも有名だ。

直正氏は靴下という商品に関して、「僕は経営というのは商品の研究だと思うんです。商品が良くなったら売れない。売れなかったら経営なんて何の役にも立ちましませんのや。商品の研究をして、その商品を、どういう風にお客さんのところに迷惑をかけずスムーズに供給できるかということを考えたらいい。商品や売価の研究もできないようでは、経営学など役に立たないのと同じことでしょう」と語っている。

タビオと孫子の兵法

“彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず”の一節で知られる孫子は、古代中国の哲学であり、様々な歴史上のリーダー達に影響を与えてきたと言われる。

日本のビジネス書に数多くのの翻訳書が出ていることからもその影響度はわかるが、日本の歴代の武将、リーダーのみならず、1772年にはイエズス会の宣教師によってフランス語訳版も現れ、かの有名なナポレンも読んだと言われる。

また、直正氏は、「中国の古典、歴史を学ぶことによって、君主、賢者、罪人の生き方から、何をしたらいけないか、何をしたらいいか、成功するパターンが発見できる」。

歴史から成功と失敗のパターンを掴み、人生における判断基準を、それから拡張してビジネスにおける判断基準に活用してきた。しかしながら孫子は戦いのための書であるので、次にあげる五事以外の部分をそのまま真似するのは危険と直正氏は指摘する。

「戦争はその場さえ勝てばいいが、商売は連綿と続いて行くので、如何に持続的成長を図るかという事がビジネスでは必要になると、孫子を用いる際の副作用も実務では考えなければならない」と直正氏は語っている。

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参考文献

  1. Ochi, N. (2013). Otoko Ippiki Maketara Akan. [Do not lose as a man]. Tokyo: Japan Management Consultants Association
  2. Ochi, N. (2016). Kutsushita Baka Ichidai [The last `Japanese`: The story of man who dedicated his life to socks]. Tokyo: Nikkei BP Sha.
  3. Teramae, T. (2012). Study on building competitive advantage in manufacturing of traditional Japanese. Abstracts of Annual Conference of Japan Society for Management Information in the JASMIN. Annual Conference of Japan Society for Management Information 2012 Autumn(pp275-278). Japan Society for Management Information.

 

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