リアル「もののけ姫」の世界/カラスは飼えるか vol.1/屋久島の思い出
最近読み出した本・新潮社の「カラスは飼えるか」(松原始著)が面白い。このタイトルから引きつけれる。読み出してから、サルやニワトリが出てくるがなかなかカラスが出てこない。元々が京都大学で野生生物研究会に所属していた著者の松原さん。サルが出てくるのは大学時代に屋久島のサルの生態調査を行い、そこからカラスの研究に進む事の経緯が冒頭に出てくる。
なんでも屋久島の主要な収入源となる作物はポンカンなどの柑橘類だが、サルの被害は深刻。島全体のサルの個体数を調査する為に、「ブロック分割定点観察法」という人海戦術で学生が同じ場所にずっと座り込みサルの泣き声を聞いたらデータにつけて行くというなんとも気のとおくなるような作業をしていたらしい。
屋久島というのは意外な事に「海上アルプス」と呼ばれるほど山ばかりで、最高峰の宮之浦岳は標高1936メートル。これは九州で最高峰の山となる。それのみならず九州の8位までの高さの山は全て屋久島にあるほどであるから驚きだ。
屋久島に初めて訪問したのは2016年の夏。前の会社を退職し、その有給休暇中に4、5泊ほど過ごした。で、屋久島というのはそんな様に平地が少なく、空港を作るには場所が制限されている。日本一霧の多い島と呼ばれるくらいで視界が悪く、パイロット泣かせの空港である。
伊丹空港から屋久島空港への直行便を使うが、3度ほどの着地を試みて失敗。近隣の鹿児島空港に降りて、航空会社からフェリーのチケットが発行されて、フェリーで行く事になった。ちょうど飛行機で隣に乗り合わせた女の子がカナダからの観光客で、鹿児島空港でフェリーの乗り方がうまく説明できない係員の為に通訳する事に。一緒にフェリーで屋久島まで向かう事になった。
なんでもカナダのアルバータから日本にやってきて東京から関西、そして最後に屋久島へと旅行にきたらしい。屋久島に来た目的は、宮崎駿夫の「もののけ姫」の舞台のモデルになった森を観る為との事で、こちらは「送陽邸」という夕日の綺麗な海に面した宿で退職後の保養に来ただけだが、カナダから「ものののけ姫」の森を観にやってくるくらいだから、こちらも拝んでみようと山に登ることになる...
続く、
屋久島にある送陽邸から観る一面の海。何もせず、何も考えずにただボーッと海をのぞむ。家族経営されている宿で、名物の親父さんが晩酌に来てくれる。女将さん共々英語ができないが外国人客も多い。言葉が話せなくとも心と心で人は通じるものだ。
屋久島にある送陽邸のハンモックでくつろぐ紳士。ちょうど7月におとづれたが台風シーズンで観光客が他にいなかった。また屋久島は降水量が全国で1、2を争う。訪問した日も雨に打たれる事も多く、登山したい方は夏のシーズンはさけた方が良いだろう。
カナダからの女の子と出会わなければ、知らずに行かなかったであろう「もののけ姫」の舞台になった白谷雲水峡。
雨が降っていたのでカナダからの女の子とホテルのカフェでお茶することにした。アルバータ出身である。この事がきっかけでアルバータへの留学を考えることになった。アルバータはオイルサンドが取れるので一時期は一攫千金を求めて多くの労働者で栄えたが、オイルの価格が下がるに連れて産業が衰退した。結局はフランスへ留学することになったが、人生って何がきっかけでどうなるか分からないものだ。
新潮社・カラスは飼えるか
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